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通訳翻訳ビジネスレポート No.60 2005/06/28 投稿:選ばれる翻訳家
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◆━2005/06/28 第0060号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「選ばれる翻訳家」平岩大樹(通訳翻訳館)

<書籍紹介>
 ◆『哲学のしずく』池田香代子(著)
 ◆『翻訳文学ブックカフェ』新元良一(著)

<館長室だより>
 ◆「小さなサクランボ」平岩大樹(通訳翻訳館)

<投稿募集>
 ◆「あなたからの投稿を掲載します」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「選ばれる翻訳家」
■■………………………………………………………………………………………………

 おもしろい翻訳書が出た。内容うんぬんではなく、商品としておもしろいものが出
た。翻訳書を手にとってみて、真っ先に読むのは「訳者あとがき」。美しく飾った表
玄関からではなく、いつも裏口から入る。

 裏口を開けてみると、たいてい原著者がにこやかに笑っていたり、ポーズをつけて
こちらをみつめている。そのおもしろい翻訳書には、いないはずの人間、いないこと
になっていたはずの人間が、目で「何か」を訴えていた。そう、翻訳家という人間が
そこで笑っていたのだ。

 ちょうど10年前、1995年出版の翻訳書の裏口を開けてみると、原著者不在、
翻訳家不在、写真なし。裏口からなんぞ「入るんじゃない」といわんばかりだ。手元
にあるノンフィクションの翻訳書をみていくと、1998年頃から原著者の白黒写真
が入るようになり、2002年頃からよくやく翻訳家の名前が入るようになってきて
いる。

 翻訳書の裏口開発史を簡単に振り返ってみるとこうなる。10年前、翻訳書の裏口
は白紙&無地。7年前あたりから、原著者が白黒写真で登場。5年前あたりから白黒
からカラー写真にパワーアップ。翻訳家が一番下に入るようになったのは、なんと3
年ほど前から。

 写真なし、白黒写真、カラー写真、たいした差じゃないと思っている人がいる。そ
う思う人はためしに、新聞の折込チラシをみてみるといい。どれが一番心を動かされ
るか、買ってみたくなるのはどれかを考えてみれば、その差ははっきりしている。

 裏口から入ると、原著者がとびきりの笑顔で迎えてくれる。最近、やっと翻訳家の
名前が入るようになったものの、いまだに原著者の下で「顔なし」の黒子役をおしつ
けられている。

 翻訳書の裏口を開けた瞬間、著者の顔が目に飛び込んでくる。その一方で、翻訳家
は「顔なし」の黒子をやっている。おかしい。この商品をつくった出版社は「おかし
い」という感覚をもっていない。こういうところに読者の感覚と出版社の感覚とのズ
レが生まれている。

 原著者が、目で「何か」を訴えている。その下の隅っこで、なんで、翻訳家だけ名
前とメモ経歴しか載っていないのか。おかしいではないか。出版人はすかさず、こう
反論してくるだろう「おかしいと思う方がおかしい」のだと。続けて、それが一般的
だとか、常識だとか何とかいってくるに違いない。

 翻訳書の裏口をどうつくるか、どう改良するか、どう開発するかは出版社に決定権
がある。要は、翻訳家を「顔なし」にして黒子にしようが、カラー写真にして載せよ
うが、原著者と対等に並べようが、表玄関に刷り込もうが出版社しだいだ。

 2005年4月に出た新しいタイプの翻訳書には、翻訳家がちゃんといる。いるべ
きところに原著者と並んでニッコリ笑っている。カラー写真で、日焼けてしている男
だとか、ノーネクタイだとか、うしろに原書が置いてあるなど、一枚の写真のなかに
無数の情報がつまっている。

 翻訳書に感動した読者なら、この翻訳家の顔を簡単に忘れない。名前は忘れても、
顔をみればすぐに思い出す。そう、「顔なし」ばかりの翻訳出版市場で、翻訳家の顔
が何よりも信頼の証になる。そしてそれは、読者に選んでもらうための舞台装置とし
て機能しはじめるのである。

(平岩大樹=通訳翻訳館)

 ◇平岩大樹
  1998年10月、「通訳翻訳館」の前身となった非営利求人求職サイト「個人
  翻訳通訳館」を立ち上げる。2000年に同サイトを「通訳翻訳館」に名称変更
  するとともに「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職サイトを始める。2000
  年から通訳翻訳館の館長。http://www.ithouse.net


[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20050628.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm

 ◇記事を投稿する
  http://www.ithouse.net/japanese/column/send.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇『哲学のしずく』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】池田香代子
【出版社】河出書房新社
【発刊年月】1997年09月16日
【本体価格】1470円 (税込)
【ページ数】181p
【ISBN】4309241956
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4309241956.htm

──────────────────────────────────────
『ソフィーの世界』が、これほど多くの人びとに受け入れられ、たくさんの人びとを
元気づけていることは、哲学の名のもとにむずかしいことばを繰り出して、それをな
んとか理解しようとした若い人びとをはねつけ、絶望させてきたおとなたちに、反省
をうながしているのではないでしょうか。
                           本文156pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は1948年生まれの翻訳家。ドイツ文学、SF小説、絵本、童話、伝記など
の分野で100冊以上の翻訳書があり、代表的な作品にヨースタイン・ゴルデルの『
ソフィーの世界』、C・ダグラス・ラミスの『世界がもし100人の村だったら』な
どがある。

 本書は『ソフィーの世界』の翻訳をとうして、学んだこと、思い出したこと、直面
したこと、疑問に感じたことなどを書きおこしたものである。オウム事件、阪神淡路
大震災、日本の学校教育、ことばの由来などについて「哲学」とからめて問題提起し
ていく。

 6千通も届いた読者カードにどう対応し、読者からの「声」をどう読んだのか。翻
訳書に対するアカデミズムからの批判に何を感じとったのか綴っている。映画『ベル
ン・天使の詩』の字幕翻訳や『パブロ・カザルス』の過去の翻訳作品から何を学び、
どう『ソフィーの世界』につながっていったのかも明かしている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


■■………………………………………………………………………………………………
■◇『翻訳文学ブックカフェ』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】新元 良一
【出版社】本の雑誌社
【発刊年月】2004年09月10日
【本体価格】2100円 (税込)
【ページ数】269p
【ISBN】4860110366
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4860110366.htm

──────────────────────────────────────
文芸作品の翻訳なんてものは。本が読まれない昨今ですから、おそらくそれだけで生
活していくのは不可能に近いと思います。生きることがいちばん身体によくない、と
いう名ゼリフがありますが、文芸翻訳で生きることは確かに生活によくないし、たぶ
ん身体にもよくない(笑)。
                           本文231pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は1959年生まれの文芸評論家で、新聞や雑誌に海外文学の連載コラムや書
評を書いている人。本書はジュンク堂池袋店で12日間かけて行なわれた著者と11
名の翻訳家とのあいだの公開トーク・セッションがもとになっている。

 11名の翻訳家のなかには正真正銘の「名翻訳家」といわれる小川高義、岸本佐知
子、土屋政雄が登場している。各翻訳家の代表的な翻訳作品を中心に、その作品との
出会い、出版編集者や原著者とのやりとりなどが語られていく。

 訳語や文体をどうつくっていったのか、日本語と英語の二カ国語間で感じている言
葉の違いとはどんなところで、どう日本語につくりかえたのかが述べられている。話
題の新訳についての意見や、これからやってみたい作家や作品などもさりげなく聞い
ている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――

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■◇「小さなサクランボ」
■■………………………………………………………………………………………………

 いまの時期、ぶらぶら外を歩いていると、木に枝に赤や黄色の実がなっていること
に気がつく。春先に見事な花をつけた桜には、小さなサクランボがなっているし、ビ
ワの木には、ビワの実がたくさんなっている。

 その多くは、収穫されなまま地面に落ち、車や自転車にひかれ、人に踏みつぶされ
てグシャグシャになる。まだ、木にくっついているからいいものの、もうすぐ木の枝
から自然に落ちて、道路や歩道に散らばって、鼻につきささるような悪臭を放つよう
になる。

 ひと様の家のものだから、よけい見事な果実に見えてくる。はじめて木の実がなっ
たとき、おそらく感動して収穫していたかもしれない。けれど、毎年おなじように実
がつき、木が大きくなるにつれ、実への関心は薄れてゆく。

 目にしみるような新緑の葉がつき、花が咲いて実がなる。毎年、おなじことがおな
じように繰り返されていると思うと、感動がなくなって、無関心になる。一見、おな
じように見えることは、けっして「おなじこと」ではなくて、おなじように見えると
いう思い込みによるところが大きいのではないか。そんなことを考えた。

(平岩大樹=通訳翻訳館)


[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトに掲載しています]

 ◇館長室だより(「葉っぱとサクランボ」などをデジカメで撮影しました)
  http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20050622.htm

 ◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
  http://www.ithouse.net/japanese/director.htm


<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「あなたからの投稿を掲載します」
■■………………………………………………………………………………………………

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取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
の資格は「通訳翻訳ビジネスレポート」の読者であればどなたでも応募いただけます


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ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
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 原稿は下記の体裁でお送りください。掲載の成否は1週間以内に必ずご連絡いたし
ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
「通訳翻訳ビジネスレポート」メールマガジンにも掲載させていただきます。なお将
来的に「投稿コラム」は出版物として出版する可能性もありますのであらかじめご了
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