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通訳翻訳ビジネスレポート No.61 2005/07/25 投稿:読者はバカか
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◆━2005/07/25 第0061号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「読者はバカか」平岩大樹(通訳翻訳館)

<書籍紹介>
 ◆『ビジネスを育てる』ポール・ホーケン(著) 阪本啓一(訳)
 ◆『逆風野郎 ダイソン成功物語』ジェームズ・ダイソン(著) 樫村志保(訳)

<館長室だより>
 ◆「たんざくのねがい」平岩大樹(通訳翻訳館)

<投稿募集>
 ◆「あなたからの投稿を掲載します」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「読者はバカか」
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 「本が読まれなくなった」とよくいわれる。何を根拠にそういっているのかといえ
ば、ただ単に書籍の販売点数や販売総額が下がったというだけで、日本人が「本を読
まなくなった」という事実は、どこにもない。

 近くの図書館にいけば、たくさん人が来ているし、予約図書の貸し出しも盛んだ。
貸し出し上位ベスト50みたいなこともやっているから、「本が読まれなくなった」
などという論理は空理空論にすぎないということが、すぐにわかる。

 ここ十年、何度も何度も「本が売れない」という議論や論評が繰り返されてきた。
それでいて「なぜ本が売れなくなったのか」という原因の探求は、ほとんど行なわれ
ていない。腹立たしいことに「読者がバカになったから」などという言い訳や泣き言
をならべ、読者側に責任を転嫁し続けてきたから、ますます本が売れなくなった。

 たとえば、「車が売れない」となれば、それは自動車メーカーや自動車販売店のや
り方に問題があるわけで、けっして「ドライバーがバカになったから」とは考えない
。車に重大な欠陥や構造上の問題が見つかれば、すぐに自動車メーカーの販売台数に
跳ね返る。当然、「車が売れない」のは「ドライバーがバカになったから」などとい
う、甘えた論理は通用しない。

 お茶やミネラルウォーターなどといった清涼飲料水だって「ドリンクが売れない」
となれば、それは自分たちが販売しているモノに問題があると考える。ところが、出
版人はそうは考えない。自分たちが販売しているモノに重大な欠陥や構造上の問題が
あるにもかかわらず、売れないのは「読者がバカになったから」などと考え、自らの
境遇を哀れんでいる。

 ライトはつかない、ブレーキランプもつかない、そんな新車を喜んで買う日本人が
いるものか。新車なら不良部品を取り替えればいい、ところが新刊の翻訳書はそうは
いかない。車ならリコール騒ぎになるような翻訳書ばかりつくっておいて、本が売れ
ないなどと騒いでいるほうがおかしいのである。

 しかもだ。古典の新訳が出るのに30年も50年もかけている。車なら30年間、
一度もモデルチェンジしないということになるが、そんなことをやっている自動車メ
ーカーは日本にない。車なら4年でフルモデルチェンジのところを、権威づけなどし
て古典を時代遅れの「ポンコツ」にしているから、売れるものも売れなくなる。

 「読者はバカだ」と考えているから、読者の声や読者の要求が聞こえない。読者カ
ード一枚、翻訳書のつくり一つをとっても、上から下を見下げるような翻訳書ばかり
だ。いまどき、ネットをつかえば、いくらでも読者の声や読者の要求は拾える。愛読
者フリーダイヤルでも、読者専用サイトでも何でもやれるはずだが、新しいことをや
るだけの勇気がない。

 「本が売れなくなった」のは、「読者がバカになった」からではない。「読解力の
低下」も「学力の低下」も関係ない。無感動に翻訳書をつくり、数売って、印刷機を
回し、クズのような翻訳書を大量生産しているから、大事な顧客を失ったのだ。

 「本が売れなくなった」のは、出版人が読者の声を無視し、自分たちだけの考え、
自分たちだけの価値観、自分たちだけの本をつくってきたからだ。読者の期待を超え
ようとか、脳天に突きささるような翻訳書を出してやろうなどという強い熱意や使命
感などない。

 「本が売れなくなった」のは、出版社はじめ、出版人の責任である。読者の声、読
者の要求を素直に聞き、新しい考え方、新しい発想を取り入れ、新しいタイプの翻訳
書を開発してこなかった出版人の怠慢の結果である。

(平岩大樹=通訳翻訳館)

 ◇平岩大樹
  1998年10月、「通訳翻訳館」の前身となった非営利求人求職サイト「個人
  翻訳通訳館」を立ち上げる。2000年に同サイトを「通訳翻訳館」に名称変更
  するとともに「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職サイトを始める。2000
  年から通訳翻訳館の館長。http://www.ithouse.net


[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20050725.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm

 ◇記事を投稿する
  http://www.ithouse.net/japanese/column/send.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇『ビジネスを育てる』
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【翻訳家】阪本 啓一
【原著者】ポール・ホーケン
【出版社】バジリコ
【発刊年月】2005年04月11日
【本体価格】1680円 (税込)
【ページ数】279p
【ISBN】4901784641
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4901784641.htm

──────────────────────────────────────
本書の読者にぼくが伝えたい原理原則はたった一つ。「自分の頭で考えよう」これだ
けである。手軽で簡単な答えに飛びつくのはやめよう。ビジネスに定石はない。ない
からこそ、努力が必要で、努力した分だけ、報われるのである。
                           本文53pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は自然食品店のエリュウホン、園芸道具の通信販売会社スミス&ホーケンの創
業者で、現在は自然エネルギーの活用をビジネスにした「パックスグループ」を経営
している人。

 ビジネスはピアノやサーフボードを習うのとまったく同じで、大自然の法則からも
逃れられないものだと著者はいう。ビジネスをやるということは、当たり前のことを
当たり前に実践し、一歩一歩階段を上がっていくように、粘り強くやっていくことで
しかないのだと。

 競合企業なんて関係ないのものだともいう。ビジネスの成功は、結局のところビジ
ネスをはじめた本人が、自分の内なる声に従い、自分自身になること以外にない。真
実を語り、顧客の身になって自分の頭で考える。そうすれば、革新的なアイデアは身
近なところにあるものだよと綴っている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


■■………………………………………………………………………………………………
■◇『逆風野郎 ダイソン成功物語』
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【翻訳家】樫村 志保
【原著者】ジェームズ・ダイソン
【出版社】日経BP社
【発刊年月】2004年05月31日
【本体価格】1890円 (税込)
【ページ数】343p
【ISBN】4822244040
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4822244040.htm

──────────────────────────────────────
僕らイギリス人は飛躍的進歩にとらわれるあまり、進歩できない。研究も地道な努力
もせずに、いつも無から有を生むことを望んでいるからだ。でもね、飛躍的進歩なん
てものはないんだよ。あるのは何事にもひるまない粘り強さだけだ。とどのつまり、
それが飛躍的進歩のように見えるんだ。
                           本文158pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者はデュアルサイクロン式掃除機で知られるダイソン社の創業者兼会長。運搬用
高速艇の「シー・トラック」、園芸用手押し車「ボールバロー」、サイクロン式掃除
機「Gフォース」を開発したエンジニアでもある。

 著者は、他人とすべてが異なるということが大事なのだと指摘する。物事を自分の
やり方で試し、じっくり観察しながら、粘り強くやる。他人がどうやったかは、問題
ではないし、他人のやり方を気にしていたら画期的な製品は生まれない。

 自分の目でみたこと、感じたこと、やってみたことを信じ、どんな批判を浴びよう
とも、馬鹿にされようとも、自分のやり方を貫き通せばいいのだと。地道な研究と改
善改良が「飛躍的進歩」に見えるだけで、無から有が生まれることはなどないと語っ
ている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――

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■◇「たんざくのねがい」
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 七夕が近いということもあり、三宝寺池の入口に3本の笹竹が立っていた。幼稚園
生か小学生かわからないが、小さな短冊には、さまざまな「願い」が書いてあったら
しい。多くは、雨にぬれてしまって読めなかった。

 一枚だけ、雨にぬれずに読めるものが残っていた。青の厚紙に、鉛筆でこう書いて
ある「とべるようになりますように」と。なるほど、「何を」とはどこにも書いてな
い。青い厚紙から連想して「空を」かもしれないとも思ったが、なんせ書いてない。

 もしかすると「跳び箱の5段をとべるように」かもしれないし、あるいはもっと違
うことかもしれない。「とべるようになりますように」と書いてあるものの、「何を
」とべるようになりたいのかは、誰も分からない。

 考え方を少しかえてみると、あえて「何を」とは書かないのも、一つの考え方だと
思える。何でもかんでも、具体的で、事細かく言葉にしてしまうことが「いい」とは
いえない。「とべるようになりますように」、こりゃすごい願い事だ。

(平岩大樹=通訳翻訳館)


[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトに掲載しています]

 ◇館長室だより(「笹竹と短冊」などをデジカメで撮影しました)
  http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20050704.htm

 ◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
  http://www.ithouse.net/japanese/director.htm


<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
■■………………………………………………………………………………………………

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取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
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ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
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