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通訳翻訳ビジネスレポート No.68 2005/10/24 投稿:虚像の踊り
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◆━2005/10/24 第0068号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「虚像の踊り」平岩大樹(通訳翻訳館)

<書籍紹介>
 ◆『日本語をどう書くか』柳父章(著)
 ◆『勇気ある経営』アイリーン・C・シャピロ(著) 仁平和夫(訳)

<館長室だより>
 ◆「秋雨とともに」平岩大樹(通訳翻訳館)

<投稿募集>
 ◆「あなたからの投稿を掲載します」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「虚像の踊り」
■■………………………………………………………………………………………………

 最近、「あなたもなれる」式のキャッチコピーがハウツー本だけでなく、翻訳書の
副題にもなっていることに気がついた。そこで「あなたもなれる」式が、なぜこれだ
けウケるのか考えてみたくなった。

 言葉には目に見えない強力な支配力がある。語感を鍛え、語感を研ぎすましていく
と、みえないはずの言葉の力がみえてくる。この「あなたもなれる」に組み込まれて
いるものには、ある種のマインドコントロールとか洗脳とかいわれる効果を生み出す
ことができる力がある。

 「あなたもなれる」の「も」がすごい、というか怖い。人の行動とその決定権を、
本人以外の人間に操られてしまう現代版の呪文になっているからだ。この呪文にかか
った人間は、いつの間にか「あなたもなれる」と発信している側の人間に操られ、心
身ともに支配されてゆく。

 「あなたならなれる」であれば、「なぜなれるのか」という問いが出てくる。とこ
ろが「あなたもなれる」ならいらない。適当な虚像をつくっておいて、その虚像をモ
デルに「あなたも」とやればいい。ひとり一人の適性、個性、特徴などすべて無視す
ることができ、虚像は変幻自在に姿をかえながら呪文にかかった人間の頭の中で踊り
続ける。

 野球、音楽、芸術、相撲でもなんでもいいが、各分野の第一線で活躍している人物
の声を注意深く拾ってゆくと、「あなたもなれる」という発想とはちょうど正反対の
考え方をしていることに気がつく。

 「あなたもなれる」の反対、つまり「自分ならやれる」と考えている。理由は、本
人がよく知っている。いちいち他人に聞く必要などないし説明する必要もない。まし
て、他人の同意などいらない。精神的に独立していて、大事な心の領域に他人を入れ
ない。

 「あなたも音楽家になれる」、「あなたも政治家になれる」、「あなたもプロゴル
ファーになれる」などといって、その気になる成人はいない。なぜか、それは音楽家
も政治家もプロゴルファーも、実像が広く知られているからだ。もっといえば、名前
とか、顔とかがパッと出てくるから、虚像はつくられにくい。

 逆に名前とか、顔とかがパッと出てこないような分野は虚像がつくられやすいとい
うことになる。将棋なら、羽生善治の顔が出てくるからダメだし、絵画も岡本太郎が
出てくる。それじゃあ、翻訳家や通訳者ならどうか。

 翻訳家と通訳者の違いすらわからない人が大勢いる。いや、圧倒的多数の人は関心
がないから「どうだっていいこと」の範疇に入ってる。だから、翻訳家や通訳者の虚
像はつくられやすい。

 黒子主義、黒子思想が信奉され、それこそ普遍的な考え方であるかのように扱われ
ているから、虚像をつくりたい側の人間にとっては都合がいい。虚像が踊る専用舞台
もこしらえて、そこで虚像といっしょに人間も踊らせる。呪文が効かない人間には、
悪趣味な踊りにしかみえないが、踊っている本人には虚像しかみえない。

(平岩大樹=通訳翻訳館)

 ◇平岩大樹
  1998年10月、「通訳翻訳館」の前身となった非営利求人求職サイト「個人
  翻訳通訳館」を立ち上げる。2000年に同サイトを「通訳翻訳館」に名称変更
  するとともに「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職サイトを始める。2000
  年から通訳翻訳館の館長。http://www.ithouse.net/


[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20051024.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm

 ◇記事を投稿する
  http://www.ithouse.net/japanese/column/send.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇『日本語をどう書くか』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】柳父 章
【出版社】法政大学出版局
【発刊年月】2003年03月01日
【本体価格】2625円 (税込)
【ページ数】216p
【ISBN】4588436074
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4588436074.htm

──────────────────────────────────────
私たちの書き言葉文は、近代以後、話し言葉から切り離され、声を出して読まれる文
という性格を失ってきた。だが、私たちは無言で読んでいるときも、その意味だけを
読み取っているわけではない。書き言葉も、言わば声にならないかすかな声をひびか
せながら読まれている。声にうったえる文章は、自ずと頭に流れ込んで行くのである

                           本文181pより抜粋
──────────────────────────────────────

 本書は「書き言葉」としての日本語とは一体どんな言葉なのか、「話し言葉」の日
本語と「書き言葉」の日本語とは、どこがどう違っているのかを示しながら、「書き
言葉」としての日本語の中核に何があるのかを探求している。

 「書き言葉」の日本語は、「話し言葉」の日本語と大きく異なった言語体系にあり
、この違いが日本文化の二重構造をつくりだす源泉になっているのだと著者は指摘す
る。ウチとソト、ウラとオモテのように「書き言葉」と「話し言葉」は対立する構造
を持っているともいう。

 明治以後、「書き言葉」は言文一致という新しい文章表現法を獲得したものの、そ
の実体は漢文訓読体を受け継いだ西欧語訓読体で、要は「話し言葉」から切り離され
てつくられた人工言語なのだと。日本語の「言」と「文」はけっして一致しないもの
であり、日本語の「書き言葉」を書くには意識的な訓練が必要であると述べている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


■■………………………………………………………………………………………………
■◇『勇気ある経営―最新経営イノベーション手法を超えて』
■■………………………………………………………………………………………………
 
【翻訳家】仁平 和夫
【原著者】アイリーン・C・シャピロ
【出版社】日経BP社
【発刊年月】1996年08月08日
【本体価格】1835円 (税込)
【ページ数】348p
【ISBN】4822240592
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4822240592.htm

──────────────────────────────────────
顧客の声には、いらいらさせられるもの、ミスリードさせられるもの、想像力に欠け
たものが多い。しかし、だからどうだと言うのか。自分が欲しいもの、それが欲しい
理由を、売り手に教えてあげるのが、顧客の仕事ではない。売り手が必要とする情報
を、顧客が喜んで提供してくれるように工夫するのは、売り手の仕事である。
                           本文207pより抜粋
──────────────────────────────────────

 本書は流行の経営理論や経営手法を盲目的に取り入れ、自らの頭で考えようとしな
い経営姿勢や責任回避の態度がどのような結果を招くのかを指摘したものである。な
んにでも効く「万能薬」など存在しないのであって、それは企業経営についても同じ
ことが言えるのだと。

 現実を直視せず、選択肢も考えず、判断も決断もしない。自らの行動やその結果に
責任をとろうとしない者、それは勇気のない者であって、経営者としての責任を果た
していない者だと著者はいう。

 誰も読まないミッション・ステートメント、夢も情熱も感じられないビジョン、そ
れらはすべて勇気のない経営者によってつくられる。顧客の声を無視し、自分のとこ
ろで扱っている商品やサービス内容すら知らない。このような態度は企業経営という
飛行技術を、自らの手で破壊する態度なのだと警告している。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「秋雨とともに」
■■………………………………………………………………………………………………

 彼岸花の鮮やかな赤、曼珠沙華、死人花ともいわれるこの花には他の花にはない強
烈な個性がある。その鮮やかな赤、昔の人はこの赤色に「血」を連想させるようなも
のをみて、「美しさ」の裏側に「何か」を感じたのだろう。

 そんな彼岸花も、いつの間にか茎だけになってしおれている。彼岸花は球根植物で
、花がおわったら茎の周辺から背丈の低い葉が出てくる。土の中でじっくり養分を吸
収し、わずか1週間だけ花を咲かせるのだが、繁殖力は他の球根植物に比べ強力だと
いう。

 彼岸花が群生しているところもあるが、ねりまには鉢植えポットがせいぜいなとこ
ろで、群生しているような生育地点は近くにない。30本も、50本も群生するとこ
ろがあるというから、それだけの本数を目の前でみると、「死人の血をすって」とい
う発想が出てくるのもうなづける。

 地面から、少しだけ上の方を見上げると、木の葉が緑色から黄色に装いを替えはじ
めていることに気がつく。ケヤキの葉っぱも茶色になって、ヒラヒラと地面に落ちは
じめた。まとわりつくような暑さもどこかに消え、寒さが秋雨とともに増してきた。

(平岩大樹=通訳翻訳館)


[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇館長室だより(「ねりまの野草観察園案内」などをデジカメで撮影しました)
  http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20051017.htm

 ◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
  http://www.ithouse.net/japanese/director.htm


<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「あなたからの投稿を掲載します」
■■………………………………………………………………………………………………

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取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
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ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
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ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
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