いままで細々と副業で翻訳してきた人たちがインターネットツールを活用して翻訳ビジネスを拡大させている。ホームページ、電子メール、メールマガジン、モバイルPC、携帯電話を自由自在に使いこなし翻訳ビジネスを展開している。なかには個人でありながら翻訳会社なみの翻訳ビジネスを展開しているところまである。
副業でも翻訳会社なみのことができるようになった背景にはモバイルPC、携帯電話などの情報通信機器が安くなったことに加え、レンタルサーバー費、ホームページ作成費、インターネット接続費などのネットサービス料金が安く使えるようになったことがある。
しかも競合になるはずの中堅・零細の翻訳会社はインターネットをはじめとする各種ネットツールの導入には消極的で自社のホームページすら持っていないところが多い。ホームページを持たない中堅、零細の翻訳会社はインターネット上のサイバースペースで「ホームレス」になっていることも知らず、ネットツールを積極活用する副業翻訳組にごっそり仕事を奪われている。
ネットツールを積極活用する副業翻訳組は中堅、零細の翻訳会社の「ホームレス現象」をよく知っている。彼らはインターネットが普及する何年も前から翻訳会社の外部登録スタッフや外部翻訳者という形で翻訳会社と取引している。仕事量を確保するため複数の翻訳会社に登録しており、翻訳会社の台所事情や営業戦略にも精通している。
ネットツールを積極活用する副業翻訳組は副業キャリアが長く、しかも翻訳会社の台所事情や営業戦略も知りつくしている。だから翻訳会社なみの翻訳ビジネスを展開することができるのだ。彼らは専門知識と仕事受注能力を持ち、キャリアと実績がある。けっして「語学力をいかして」などと考えて新規参入してきた素人ではない。
しかも本業で勤務している会社では専門職や海外支店での勤務などを経験しており、ビジネスセンスや営業センスもしっかり磨いている。だからネットツールを使いこなせない中堅、零細の翻訳会社を捨てて自ら翻訳ビジネスに乗り出すのことができるのである。
副業翻訳組は副業にとどまるのではなく専業もしくは翻訳会社の設立まで視野に入れ翻訳ビジネスを展開しており、案内広告やネット広告にも積極的だ。ネットをフル活用することで既存の翻訳会社が相手にしてこなかったサイバースペースでの翻訳需要を掘り起こし、どんどん仕事を獲得している。
中堅・零細の翻訳会社が本腰をいれ、各種のネットツールの活用をしようとする兆候はまだみられない。よって引き続き副業翻訳組に仕事が流れ続けることは間違いない。このチャンスを狙って副業翻訳から専業翻訳者になる人、副業から翻訳会社を興す人が増えるだろう。
サイバースペースでは法人、個人などの違いはあまり意味を持たない。なぜなら信頼でき、納得のいく翻訳サービスを提供できなければ法人であろうが個人であろうが誰も相手にしないからだ。よって創造性とチャレンジ精神を持つものにとってネットは圧倒的に有利なビジネス環境となっている。
いままで営業機能を翻訳会社にすべて依存してきた副業翻訳組はホームページとネットツールを組み合わせ使いこなすことで自らの営業ツールを獲得した。副業キャリアが長く専門知識と経験を持った人ほど翻訳会社からの報酬に満足しなくなるだろう。創造性とチャレンジ精神、ヤリガイと自己実現を求め副業翻訳組は翻訳ビジネスのあり方を変えていくことだろう。
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