通訳翻訳館では定期的にメールマガジンの読者アンケートを実施している。7月のはじめに実施した『通訳翻訳サービス提供者発見!』メールマガジンのアンケート調査では中国語の通訳翻訳サービスを必要としている人が英語の通訳翻訳サービスを必要としている人を上回る結果となった。
『通訳翻訳サービス提供者発見!』メールマガジンは通訳、翻訳サービスを提供しいる事業者情報を配信しているメールマガジンで購読しているのは個人や人材採用担当、企業のアウトソーシング担当など。
この『通訳翻訳サービス提供者発見!』メールマガジンに「必要としている通訳/翻訳サービス言語は?」という質問を設定しアンケート調査したところ「中国語(1位:25%)」、「英語(2位:24%)」、「韓国語(3位:13%)」、「スペイン語(4位)」の順になった。
今回のアンケート結果がいったいどんな意味をもっているのか探るわけだが、それにしてもこの業界にまともな統計データはあまりない。あっても通訳ガイドの年次ライセンス取得者数データくらいなもので、様々な立場の人がぞれぞれの経験に基づいていろいろ予想している。それでも裏づけが示されていることはめったにない。
2002年3月に調査した前回アンケートでは「英語(1位:30%)」、「中国語(1位:30%)」、「スペイン語(2位:20%)」、「韓国語(3位:13%)」、「台湾語(4位)」の順だった。2002年3月の前回調査と今年7月のアンケートデータを比較すると英語と中国語に格差がでたこと、スペイン語と韓国語の順位が入れ替わったなどの変化がある。
わずか1%の差ではあるが英語を押さえて1位になった中国語にどのような変化があったかといえば、2001年7月の北京オリンピック開催決定と2001年12月の世界貿易機関(WTO)加盟だ。オリンピック開催決定によるインフラ建設ラッシュとWTO加盟による貿易の自由化、サービス市場の開放が約1年の準備期間を経て本格化し通訳翻訳マーケットに影響を与えている。
身近なところでは英語によるスパムメールに加えて中国進出や中国関連ビジネスの紹介をうたうスパムメールが増えている。しかも日本語にしっかり翻訳して送信してくるのは驚きだ。中国のスパマーたちも日本市場を真剣に狙いはじめたわけだ。
とはいっても各種求人媒体の求人情報を調べると中国語の通訳翻訳職種の募集は少ない。過去6ヶ月間における主要な国内有料求人媒体における中国語の通訳翻訳関連求人は3件で秘書業務を含む求人が1件、ソフトウェアのローカライズが1件、教育施設における事務業務を含む求人が1件だった(求人件数に派遣会社の求人情報は除き、正社員採用のみ求人件数とした)。
一方、中国語を使った通訳翻訳関連職種の派遣求人件数には変化がみられた。複数の大手派遣会社の求人情報を調べてみたところ、過去6ヶ月間における中国語を使った通訳翻訳関連職種の求人件数は16件だった。全求人件数415件に対し4%にしかすぎないものの月別にみると2月2件、3月2件、4月2件、5月0件、6月4件、7月5件で6月から求人件数が倍増してきている。
前年同月期の中国語を使った通訳翻訳関連職種の求人件数は9件であったことから前年同月期比で約1.8倍になった計算になる。この傾向は2008年の北京オリンピック開催まで続き拡大していくことになるだろう。2008年は間違いなく中国語の年になる。オリンピック開催により世界のマネーが中国に流れ込み、このビジネスチャンスを狙う人間にとって中国語の通訳翻訳サービスは必須のものとなるにちがいない。
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