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通訳翻訳ビジネスレポート No.52 2005/03/15 投稿:3月1日に生まれて
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◆━2005/03/15 第0052号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆


◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「3月1日に生まれて」田中モー子(匿名投稿)

<書籍紹介>
 ◆『経営に終わりはない』藤沢武夫(著)
 ◆『無敵のマーケティング 最強の戦略』ジャック・トラウト(著) 高遠裕子(訳)

<館長室だより>
 ◆「カタクリと落ち葉」平岩大樹(通訳翻訳館)

<投稿募集>
 ◆「あなたからの投稿を掲載します」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「3月1日に生まれて」
■■………………………………………………………………………………………………

 3月1日は、「3・1独立宣言」の記念日だ。韓国の新聞やテレビでは、日本帝国
支配の36年間と、独立運動の勇士達に関する特集・報道がなされる。ちょうどこの
日が、韓国人の夫の誕生日でもあった。

 韓国のある新聞の、ウェブ版・日本語版に、韓国在住の日本女性60人が、小学校
を訪問し、日帝当時苦痛を受けたお年寄りたちに「ジョルをしている」と書かれ、大
きく写真が出ていた。60人の、日本人顔の女性達が、色とりどりのチマ・チョゴリ
を着て、地面にひれ伏している姿に圧倒された。

 「ジョル」は、ポーズとしては土下座のポーズに似ているが、韓国では正式な最敬
礼として、家族や親戚の間でもするし、結婚式などでも行われる。しかし、ジョルの
意味を知らない日本人がこの写真だけを見たら、どう見ても「土下座で謝罪」である


 写真には、キャプションが一言添えられているだけで、なぜ「小学校」なのか、ど
ういう「お年寄り」たちなのか、60人の女性達は何者なのかは、全く書いていない
。「なんかさー、こういう取り上げ方はいやだなぁ」思わず言葉が出た。ジョルをし
た人たちの内心は分からないし。わかる必要もないらしい。

 ただ写真を見て、一部の韓国人には溜飲の下がる思いがするのだろう。多くの日本
人はおそらく、いやなわだかまりを抱え、黙り込むだけだ。そこから何の前進もない
。誰に何を伝えたいのか不明な表現ばかりが、日韓の間で、数十年間、不協和音のよ
うに飛び交ってきた。戦後を知らない世代の夫は、26歳を迎えた。2児の父。子供
に歴史をなんと教えるのかも、そう遠くない将来の宿題だ。

 「日帝時代36年といったら、0歳の赤ん坊が36歳になるまでの期間だよ。一か
ら日本で教育を受けた世代が、成人して、その次の世代も生まれたほどの年月だ。そ
の間に、日本で勉強して、日本人からお金をもらって、植民地の枠組みの中で出世し
た人たちがいた。

 晴れて日本から独立したけど、アメリカ帰りのイ・スンマン大統領は、周りを見て
愕然とした。頭の中に何か入っている人間が、東京帝国大学で勉強したやつらしかい
なかったんだ。もしも全員殺したら、国を運営できる人間なんかろくにいやしない。

 結局やっぱりこいつら使うか、となった。日本人と仲良くして、日本人にいっぱい
金をもらった人間達が、戦後も国を牛耳った。表向き“親日”はタブーになっても、
植民地支配の責任追及を本気では言えないんだ。

 あんまり言うと自分達にまで矛先が向いてくるし、仲いい日本人もいっぱいいるし
、でも国民の受けをねらうには、ポーズとしては日本に強く責任追及する必要があっ
た。一方で、植民地時代にひどい目にあって、本気で日本人を恨んでいる人もいた。
韓国も一枚岩じゃない。すごく複雑な話なんだ。」

 自分でも目を丸くしながら聞いていた。夫婦の間でさえ、「ぶっちゃけて」話せた
ことが初めてだった。これまで韓国人の友人は無数にいたが、誰ともそんな話はでき
なかった。

 「君はこの問題に対して、興味を持ってるし、本も読んでるのに。今まで他の韓国
人と何を話していたの?」

 「日帝が悪い・謝れという話か、何もいわないか、どっちかだったよ。それに、韓
国人の気分を害することを言ったら、他の日本人から怒られるの。ますます日本人が
信用を失うじゃないか、って。だから本音で議論もできない。」

 「それじゃあだめだろう。表向き問題がなくたって、心が通じ合っていなかったら
、友達にもなれないよ。」

 「そうね・・・。」

 情けないが、自分でも、自身の思考ストップに気づいていなかった。当たり前のよ
うに話題を避けて、ただいい顔をしていた。韓国人・中国人と仲良くしようとする日
本人の、一種の知恵かもしれない。その知恵が、逆に壁となっていないか。

 「きのう、祖父が亡くなった。日本に強制連行されたといっていたけど、詳しいこ
とは話してくれないままだった。僕は祖父の代弁者になるつもりもないし、なれもし
ない。大切なのは、わけわからず謝罪することなんかじゃない。これからの韓国人と
日本人が仲良くするために話すことだ。個人の間でタブーなんかなくていい。こうし
てもっと、普通に話したほうがいいんだ。」 

 通訳・翻訳は、自分の頭の中にある言葉を使ってしかできない。難しいテーマほど
、一から自分の思想をつむぎださなければならない。対話によって、相手との違いに
気づき、自分の考えもまとまる。対話を恐れていたら、表現する言葉は永遠に出てこ
ない。

 何十年も、日本人の心の中にくすぶっていた言葉があった。今、いろんな形でいい
、それを外に出していくときだと思う。毎年、3月1日、8月15日がやってくる。
私たちは1年ずつ年を取り、世界は動いていく。新しい世代が育っていく。立ち止ま
っている必要はどこにもないのではないか。

(田中モー子=匿名投稿)

 ◇田中モー子
  http://www.bu-min.com


[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20050315.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm

 ◇記事を投稿する
  http://www.ithouse.net/japanese/column/send.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇『経営に終わりはない』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】藤沢 武夫
【出版社】文芸春秋
【発刊年月】1998年07月10日
【本体価格】460円 (税込)
【ページ数】235p
【ISBN】4167130025
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4167130025.htm

──────────────────────────────────────
私の経営信条は、すべてシンプルにするということです。シンプルにすれば、経営者
も忙しくしないですむ。そのためには、とにかく一度決めたら、それを貫くことです
。状況が変わっても、一筋の太い道を迷わずに進むことです。
                           本文151pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は本田宗一郎とともに本田技研工業の共同経営者として、ホンダの経営戦略や
企業組織をつくりあげた人。本書では宗一郎との出会いや世界の自動車メーカー「ホ
ンダ」が誕生するまでの軌跡をふり返り、自らの経営信条を綴っている。

 本業に徹する、外注に頼らない、自分たちの創意工夫を引き出す、本物の追求する
。それが、ホンダの思想であり、モットーだと著者はいう。すべてをシンプルにして
、一度決めたらどんな状況になろうとも、やりぬくのがホンダだと。

 技術的に未解決でも、経営的に利益が出なくても、与えられた条件のなかで可能性
を見つけだし、弱音を吐かない。それが宗一郎という人であり、ホンダという企業組
織体をつくりあげていくうえで、核となった考え方だと語っている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


■■………………………………………………………………………………………………
■◇『無敵のマーケティング 最強の戦略』
■■………………………………………………………………………………………………

【翻訳家】高遠 裕子
【著者】ジャック・トラウト
【出版社】阪急コミュニケーションズ
【発刊年月】2004年11月09日
【本体価格】1470円 (税込)
【ページ数】184p
【ISBN】4484041219
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4484041219.htm

──────────────────────────────────────
本書で強調したい教訓をひとつだけ挙げよと言われれば、こう答える。戦略の成否は
、市場をどうとらえるかによって決まる。そして、勝敗を左右するのは顧客の心であ
るということを、しっかりと心得なければならない。
                           本文160pより抜粋
──────────────────────────────────────

 本書は「優れた戦略とは何か」について焦点を絞ったものである。競争の激しい世
界で生き残るための方法、それが「戦略」だと著者はいう。情報過多の現代社会では
シンプルな考え方、シンプルなアイデアが武器になるという。

 おなじような商品、おなじようなサービスが溢れるビジネス環境で生き残るには、
競合企業のマネをせず、独自の特性をつくりだすことが大切だと指摘している。何か
一つだけ抜きん出た「強み」を持たなければ、生き残ることはできない。

 とはいえ、多くのことをやる必要もないし、難しく考える必要もない。ありのまま
の事実を受け入れ、一つのことに焦点を絞ればいい。複雑、難解なものにすればする
ほど、顧客の心は離れていき失敗することになる。だからシンプルでいいのだと語っ
ている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「カタクリと落ち葉」
■■………………………………………………………………………………………………

 東京にカタクリの自生地があることを知った。しかも、数十万株にもなる群落が練
馬にあるというので、さっそく行ってみた。カタクリの群落がある「清水山憩の森」
には「かたくり花生育観測地点」が、いくつも設けられている。

 カタクリをまったく知らない人でも、生育観測地点でじっくりと観察してみれば、
どこにカタクリが自生しているのか見つけることができる。とはいえ、いまの時期だ
とカタクリの新芽は落ち葉と同色、一見しただけでは落ち葉と見分けがつかない。

 生育観測地点をいくつもまわり、湧き水の源泉や小さな池を眺めながら森全体を散
策して、やっとカタクリをみつけた。寒空の下、この憩の森にいた観察者は3名。自
然の静けさのなかで、湧き水の音、鳥の声、木の香り、土の香りをあじわうことがで
きた。

 カタクリの花は見られなかったが、カタクリの新芽が土の中から無数に出てくると
ころを観察することができた。カタクリの花がどのような成長過程をへて花を咲かせ
るのか、はじめから観察していればこその感動があるかもしれない。そう思って憩の
森を後にした。

(平岩大樹=通訳翻訳館)


[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトに掲載しています]

 ◇館長室だより(「落ち葉の中のカタクリ」などをデジカメで撮影しました)
  http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20050314.htm

 ◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
  http://www.ithouse.net/japanese/director.htm


<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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