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通訳翻訳ビジネスレポート No.09 2003/02/24 投稿:少子高齢化と通訳翻訳
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◆━2003/02/24 第0009号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「少子高齢化と通訳翻訳」

<書籍紹介>
 ◆『英語は女を変える』篠田顕子 新崎隆子(著)
 ◆『翻訳家で成功する!』柴田耕太郎(著)
 ◆『多文化世界』G・ホフステード(著) 岩井紀子 岩井八郎(訳)

<編集後記>
 ◆「外国人はハッキリものを言う?」

<投稿原稿募集要項>
 ◆「あなたの考えを投稿してみませんか」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「少子高齢化と通訳翻訳」
■■………………………………………………………………………………………………

 日本は老化している。2002年9月、我が国ニッポンの65歳以上人口は236
2万人で総人口に占める割合は18.5%に達した。2001年の9月と比べて、7
8万人増加しており、割合で0.5ポイントも上昇した。一方、子供の出生数は毎年
減少し、男女の婚姻率も低下し続けている。

 GDPの実質成長率はマイナス1.2%(2001年)となり経済規模も縮小し始
め、追い討ちをかけるように完全失業率も上昇している。長期不況により失業者が増
え、働く意欲がある人でも働き口がなかったり、希望する仕事が見つからない人が推
定300万人以上もいる。

 大量の失業者が発生しているにもかかわらず、日本の労働力人口は老化し続けてい
る。国立社会保障・人口問題研究所の推計(2002年1月推計)によると、65歳
以上の人口は今後も増加し、2014年には3199万人となり、総人口に占める割
合では25.3%、つまり4人に1人が65歳以上になると見込まれている。

 労働力人口は減少し、日本の人材マーケットは縮小する。老化した日本社会がグロ
ーバル化した国際社会のなかで経済大国としての地位を保つことは難しい。人口は老
化し経済はさらに縮小、子供の数も減る。そこで注目されているのが外国人労働者の
存在である。

 日本はアメリカ、オーストラリア、フランスのような他民族、多文化社会を形成し
ていない。いわゆる人種の「るつぼ」や「モザイク」といわれるような国家ではない
。そのため、日本は大量の外国人労働者を日本国内に受け入れる文化的、社会的な下
地ができていない。

 2002年12月に国土交通省から発表された国家観光戦略は訪日外国人旅行者の
経済波及効果を強調し、官民をあげて観光産業を外貨獲得産業に育て上げると宣言し
た。文面では書かれていないが、国家観光戦略は「人」、「知」、「金(カネ)」を
世界から調達する仕掛けのひとつとして機能する。

 人種、宗教、生活習慣、価値観の全く異なった外国人を包容し、日本社会に取り込
むには、外国人の文化を尊重し、よいところは学び、ともに成長・発展していくとい
う考えを日本人ひとり一人が持たなくてはならない。法律や制度の変更よりも日本人
の意識改革から進めなくてはならないのだ。

 バブル経済で沸いた1980年代、中東出身の出稼ぎ外国人労働者が急増した。彼
らが東京上野公園で独自のコミュニティーを形成せざる得なかったのには理由がある
。日本社会は異文化社会で育った外国人労働者を地域コミュニティーから追い出し、
孤立させてしまった。その結果、外国人労働者たちはゆき場を失い上野公園をなかば
占領して彼らのコミュニティーを形成せざる得なかったのである。

 国家観光戦略に基き訪日外国人旅行者を大量流入させ、日本全国各地に外国人旅行
者を送り込み、外国人旅行者との交流機会を増やすことで外国人が日本社会に受け入
れられる文化的、社会的な下地づくりが進められる。訪日外国人旅行者との異文化交
流体験を重ねることで日本人が持つ外国人アレルギーがなくなる。

 外国人アレルギーがなくなってくると日本人が持っている高い適応能力がビジネス
、経済、社会、政治、教育、医療、娯楽などのあらゆる場面で発揮され、外国人を積
極的に日本社会に取り込もうとする大きな「うねり」が生まれる。

 国家観光戦略では2007年までに訪日外国人旅行者の受け入れ数を800万人台
としているので、訪日外国人旅行者と日本人との異文化交流が日常化し外国人取り込
み気運が高まるまでに5〜7年として、2012年〜2014年頃がひとつの転換期
となる。

 日本の総人口のうち4人に1人が65歳以上になると見込まれている時期とこの転
換期がちょうど重なる。国家観光戦略が成功し外国人を日本社会に取り込もうとする
「うねり」が生まれれば、日本は労働力人口を補うため大量の外国人労働者を受け入
れはじめる。大量の外国人労働者は労働力とともに異文化の「知」を日本に持ち込む


 いままで見過ごされてきた異文化の「知」に出会い、日本社会はそれを取り込む。
日本は大和時代から異文化の優れた「知の体系」を吸収し日本文化を発展させてきた
歴史がある。千年の時を超えて受け継がれる儒教思想、漢字文字は日本文化に取り込
まれ同化した異文化の「知の体系」だ。

 大量の外国人労働者が流入することでビジネス、経済、社会、政治、教育、医療、
娯楽などのあらゆる場面で通訳と翻訳が必要とされ、異文化の「知」が日本に大量流
入する。大量の「知」は世界最高水準の高度情報通信ネットワーク社会となった日本
社会に驚くべきスピードで取り込まれ、新たな「知の体系」を生み出す原動力となる


(平岩 大樹=通訳翻訳館)


[この記事は通訳翻訳館サイトに掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20030224.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇『英語は女を変える』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】篠田顕子 新崎隆子
【出版社】はまの出版
【発刊年月】1992年9月18日
【本体価格】1456円 (税抜き)
【ページ数】286p
【ISBN】4893611437
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4893611437/ithouse-22

──────────────────────────────────────
私が放送通訳を続ける何よりも大きな理由は、ニュースが持つ「感動」ということに
あります。ニュースというと無味乾燥な事実というイメージがあり、感動などという
と場ちがいに聞こえるかもしれません。(本文172pより抜粋)
──────────────────────────────────────

 著者の篠田顕子は大学卒業後、オーストラリアのモナシュ大学大学院に進み教師、
研究職を経て通訳者になった人で訳書に『ウーマンズ・セックス』がある。共著の新
崎隆子は大学卒業後、高校教師を経て通訳者になった人。篠田顕子ともに放送通訳者
の草分け。

 本書は同時通訳者が行っている通訳の実際を2人の同時通訳者が綴るものである。
2人の同時通訳者がそれぞれ体験してきた会議通訳でのエピソードや放送通訳の仕事
現場を広く一般の人に知ってもらうために書かれている。

 新崎隆子と篠田顕子が交互に通訳体験を語る構成で、それぞれの通訳個人史にもな
っている。テレビ放送局での放送通訳や化学セミナーでの会議通訳といった通訳場面
ごとのエピソードから服の選び方、通訳7つ道具、家庭との両立など女性通訳者のあ
りのままが書かれている。


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■◇『翻訳家で成功する!』
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【著者】柴田耕太郎
【出版社】 工作舎
【発刊年月】2000年4月28日
【本体価格】1800円 (税抜き)
【ページ数】261p
【ISBN】 4875023278
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4875023278/ithouse-22

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出版翻訳においても、それで生活を成り立たせたいなら、やはりマーケティングの発
想が必要になってくるわけである。自身の得意・志向性・生き方と、翻訳したい作品
・分野・出版の傾向をにらみ合わせ、仕事のやり方を決めてゆかねばならない。(本
文39pより抜粋)
──────────────────────────────────────

 著者は産業翻訳会社「アイディー」を経営する経営者であり、翻訳者でもある人。
インターネットによる翻訳者選定を行う「トランネット」を発案したことでも知られ
ている。

 本書は出版翻訳(文芸翻訳)を中心に産業翻訳、映像翻訳における翻訳ビジネスの
現状を鋭く分析している書である。出版翻訳分野における翻訳者のビジネス環境、出
版社の求人動向などについて、アンケート調査や取材活動を通して出版社の戦略、編
集者のホンネが綴られているれている。

 第3章「翻訳者になるためにはどこで学ぶか?」では、翻訳学校がいつどのように
して現れたのか、翻訳学校にいくことのメリット・デメリットは何なのかが書かれて
いる。著者が運営する「トランネット」の宣伝が一部あるものの、25年以上にわた
る翻訳ビジネス経験がレポートされている。


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■◇『多文化世界』
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【著者】G・ホフステード
【訳者】岩井紀子 岩井八郎
【出版社】有斐閣
【発刊年月】1995年2月20日
【本体価格】2884円 (税抜き)
【ページ数】276p
【ISBN】4641075786
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4641075786/ithouse-22

──────────────────────────────────────
多文化世界で生き残る基本的な技術は、本書で論じてきたように、まず、自分自身の
文化的価値観を理解することである(だからこそみずからの文化的アイデンティティ
が必要となる)。そして次に、協力しなければならない相手の文化的価値観を理解す
ることである。(本文257pより抜粋)
──────────────────────────────────────

 著者はオランダのフローニンゲン大学で社会心理学の博士号を取得した博士。「異
文化間協力に関する研究所」(オランダ・マーストリヒト、リンブルク大学)の所長
をはじめヨーロッパ経営大学院などで組織行動論の教授を勤めた人。

 本書は世界50カ国の文化を比較した比較文化論である。比較対象は世界50カ国
にのぼり、統計学と綿密な調査から見出された「権力格差」、「集団主義対個人主義
」、「女性らしさ対男性らしさ」、「不確実性の回避」の4つの次元を使って文化の
違いを探ってゆく。

 世界50カ国のリストには日本が入っており、4つの次元を使って他国と日本を比
較することができる。日本人が持つ文化的特徴を客観的に理解し、どのようなところ
がどう違うのかがわかる優れた書だ。


<= 編集後記 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「外国人はハッキリものを言う?」
■■………………………………………………………………………………………………

  編集部のひらいわです!

 先日、ニュース番組に出演していた大学教授が「外国人はハッキリものを言う」と
コメントして日本人はハッキリものを言わないからダメなんだというようなことを言
っていた。

 この大学教授が想定している「外国人」とは個人主義が強く、なんでもハッキリも
のを言っても問題にならない文化を持つ外国人のことだろう。しかし、外国人といっ
ても、彼らの出身国はさまざまで文化もそれぞれ違う。

 個人主義が強く、なんでもハッキリものを言っても許される文化を持つ国は少ない
。この大学教授の「外国人」発言は、テレビ視聴者に誤ったイメージを与える発言だ
ろう。簡単に「外国人」などと言わず、「○○の国の人」と言ってもらいたい。


<= 投稿募集 =>――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「あなたからの投稿を掲載します」
■■………………………………………………………………………………………………

 「通訳翻訳ビジネスレポート」ではメディアが取り上げない通訳翻訳業界の現状を
取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
の資格は「通訳翻訳ビジネスレポート」の読者であればどなたでも応募いただけます


 原稿内にはご自身のホームページの表記も認めますが、表記によるトラブルについ
ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
ところですが編集部が掲載を判断したものに限らせていただきます。

 原稿は下記の体裁でお送りください。掲載の成否は1週間以内に必ずご連絡いたし
ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
「通訳翻訳ビジネスレポート」メールマガジンにも掲載させていただきます。なお将
来的に「投稿コラム」は出版物として出版する可能性もありますのであらかじめご了
承ください。

 応募原稿体裁―「通訳」または「翻訳」をキーワードに政治・経済・文化などにつ
いてのあなたご自身のご意見を1行全角38字詰め、総字数1000字〜2000字(見出しを
含む)にまとめ、下記アドレスへお送りください。メールアドレスのみの匿名による
応募も受け付けますが会社名、氏名、メールアドレス、ホームページURLの表記を
ご希望の方は記入ください。

 原稿の成否に関するお問い合わせ、及び成否の理由についてのお答えは一切できま
せんのでご承知おきください。お手数ですが、送信メールの件名には必ず「投稿」と
いう文言を記入してください。

 随時募集いたしております、奮ってご応募ください。 
 投稿先メールアドレス:column@ithouse.net


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