◆━2006/05/12 第0078号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<読者投稿> ◆「名訳者のセンス」田中モー子(匿名投稿)
<館長室だより> ◆「とんがったヤツ」平岩大樹(通訳翻訳館)
<投稿募集> ◆「あなたからの投稿を掲載します」
<= 読者記事
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■■……………………………………………………………………………………………… ■◇「名訳者のセンス」 ■■………………………………………………………………………………………………
2歳と1歳と腹の子に向かって、毎日ひたすら絵本を読まされる日々。世界中から やってきた、可愛い絵と珍しい物語たちに囲まれて過ごす。
絵本の翻訳というのもやっかいな仕事だ。子供向けの絵本にはややこしい説明はな い。理解できても感動がなければ意味がない。面白い絵本には文化的バックグラウン ドがわからないと楽しめない表現もあるはずだが、バッサリ切り捨てず、説明的にな らず、感動をうむことは小説以上に難しい。
子供の評価はシビアだ。気に入った本は何百回と読まされ、気に入らない本は1回 読んで「さー次は何にしようかな」。有名な作家が文を書いたからいい絵本とは限ら ない。どうがんばっても、明治生まれの訳は21世紀生まれの人口には膾炙しない。
詩的にしようとして、親がこっぱずかしくて読めないようなボキャブラリーがちり ばめられているものもある。読みながら「なんじゃこりゃ」とぼやきが入る。もちろ ん古典の名文はマニアにとっての価値はあるが、親と子の読む絵本の目的とは違う。 親の口から子供の口へ、言葉と想像力の伝道者になれない絵本は本棚の隅で化石とな ってしまう。
『いってらっしゃいおかえりなさい』(クリスティーヌ・ルーミス/文 たかばや しまり)という絵本を読んだ。ニューヨークのパパママたちの通勤風景。「電車はガ タガタ」「自動車ノロノロ」はよくわかるが、「飛行機ブンブン」?「フェリーでざ ぶざぶ」なに!?フェリー通勤?と、首をかしげながらも、テンポのよさ、カラフル でやさしい絵に引き込まれていく。
子供を思いながらも仕事に向かい、終わると一目散に子供の待つ家に帰り、あわた だしい朝食と夕食の中にも幸せがあり、ぐったり疲れて仲良く「おやすみなさい」で 終わる暮らし。日本もアメリカも変わらない働くパパママたちの愛情、この本の主題 がスッと私たち親子の心に入ってきて、明日も保育園にいく元気が出てきた。
毎晩寝る前に、くり返し私たちはこの本を読んだ。原語のタイトルを見ると「Ru sh Hour」だった。日本語の「ラッシュアワー」、はたまた「つうきんじごく 」ではあまりにもわびしすぎる。
そこで訳者が選んだタイトルが「いってらっしゃいおかえりなさい」。「いってら っしゃい」も「おかえりなさい」も英語にまったくない言葉なのに、万国共通な心を みごとに伝えた、名訳者のセンスはさすがだ。
翻訳がマニアだけのものであってはならない。マニア向け翻訳はあってもいいが一 般向けとは別カテゴリと考えるべきであって、マニアが翻訳業界を牛耳っている状況 は異常だ。
中途半端に勉強で得た翻訳技術よりも、心で訳し、子供の言葉でのびのび語ること のできる才能をもっと育てたい。中学生、高校生のころから、語学を始めて学ぶと同 時に、絵本翻訳に取り組む機会がもっとあってもいい。
みずみずしい感性を持った10代の時期に、決まりきった逐語訳のテストをされバ ツをつけられて想像力を失わされ、日常会話や旅行会話をネイティブの発音どおりに まねることや、TOEICのスコアをアップさせることに血道をあげているだけでは 、あまりにももったいない。
(田中モー子=匿名投稿)
◇田中モー子 http://www.bu-min.com
[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]
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館長室だより
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■■……………………………………………………………………………………………… ■◇「とんがったヤツ」 ■■………………………………………………………………………………………………
土の中からとんがって出てくるヤツがいる。生命力のみなぎった黄緑色をして、空 にむかって「どうだ!、どうだ!、どうだ!」という勢いで出てくる。指先くらいの 大きさしかなかったものでも、数日で二倍の大きさに成長する。
花をつけ、種をつける頃にはけっしてみられない姿が、春先だけ観察できる。落ち 葉に埋もれ、茶一色の大地にポツポツと緑のとんがったヤツら。まだ小さかったけれ ど、青空にむかってギザギザの葉っぱを突き出していた。
空を飛びまわる野鳥たちなら、すぐにコイツをみつける。けれど、とんがっている から手を出せない。とんがってないヤツなら、簡単に食べつくし、まる裸にしてしま うが、全身で野鳥を威嚇し、葉の先っぽまでとがらせるコイツは食えない。
「食えるなら食ってみろ!」といわんばかりに、葉の先っぽをとがらせ、全身で野 鳥を脅す。土の中から出てきたときから、すでにとんがって出てくるコイツ、花を咲 かせた姿を思い浮かべながら、この植物のことを考えてみた。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]
◇館長室だより(「とんがったヤツ」などをデジカメで撮影しました) http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20060311.htm
◇いままでの館長室だより一覧(館長室) http://www.ithouse.net/japanese/director.htm
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投稿募集
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