◆━2005/06/20 第0059号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<投稿記事>
◆「19歳の日本語通訳」田中モー子(匿名投稿)
<書籍紹介>
◆『海からの贈物』アン・モロウ・リンドバーグ(著)
吉田健一 (翻訳)
◆『向上心』サミュエル・スマイルズ(著)
竹内均 (翻訳)
<館長室だより>
◆「すいれんとアオゲラ」平岩大樹(通訳翻訳館)
<投稿募集>
◆「あなたからの投稿を掲載します」
<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「19歳の日本語通訳」
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韓国・中国の映画・ドラマや文学を見聞きし、訳していると気づくことがある。女
性の登場人物の生活。中国では毛沢東以降男女平等が進み、結婚後、出産後働くこと
は当たり前すぎて、日本のような悩みのテーマにもならない。韓国でも、貧しい女性
は小さい店を経営したり、市場で雑貨を売り、男よりたくましく働く。
金持ちの女性やサラリーマンの妻達も全く暇ではない。不動産を転売したり、契(
頼母子講)などをして財産を増やすのに懸命で、それに成功した女社長、実業家もよ
く出てくる。
つまり、女性が単なるお友達関係以上の経済的、実力競争的な何かで必ず社会とつ
ながっている。「なーんにもできない、しない」おばさんたちは登場しないというこ
とだ。
中学時代、海外文通の好きだった私は、外国のペンパルに、当時流行の漫画「オバ
タリアン」の4コマ漫画を一部コピーし、訳して見せた。セリフは簡単だから間違っ
ていなかったはずなのだが、通じなかった。
テレビを見てせんべいをかじり、バーゲンで買い物するだけの生活をし、人には偉
そうにどなりちらす「オバタリアン」は、外国には存在しなかったのだ。フツーの日
本人中学生の私は、どこの国でもおばさんはこうだと信じて疑っていなかったのだが
。
日本は第二次大戦後、国家主導で性別役割分業の安定社会を作った。冷蔵庫を買い
、洗濯機を買い、どれだけ余裕ができても、女は「なーんにもできない、しない」ま
までよいと約束し、死ぬまで年金も与えた。そんなことができた。世界に例を見ない
社会である。
外で男が死ぬほど働いていたって、家の中には「なーんにもできない、しない」女
達がのうのうと暮らしている。それを見た子供たちが、どちらをうらやましく、身近
に、当然に思って暮らすかは、火を見るより明らかだ。
普通の子供が普通に大人になっただけで、「若者がニートになった」わけではない
。にわかに雇用対策などしても多分無駄だ。「なーんにもできない、しないでも楽に
暮らしていける」例が、特殊な1人2人じゃなく社会にこれだけ幅を利かせていれば
、誰だって遊んで暮らしたいと思うのは必然である。
こんなにラクな主婦の地位が保証された中で、働きたい女性が労働環境を改善した
くても、大きな動きを作り出すことはできなかった。女性運動を女性がつぶすとまで
言われた。アメリカのウーマンリブに続こうという動きもあったが、現地では反キリ
スト教運動・堕胎自由化など日本とは違う問題がたくさんあって、うまくリンクしな
かった。
その一方で、中国・韓国の女性たちが、実力を磨き、しのぎを削って働く姿が、訳
され、伝えられてこなかったのではないか。欧米だけに目を向け、アジアの隣国を軽
視する姿勢でここまで来た、しっぺ返しを今食らっているのではないか。
北朝鮮を訪ねたとき、19歳の日本語通訳の女子大生が、みごとな日本語で通訳し
た。一方で日本人達が「岐阜県」「福岡県」などの出身地を言ってもどこだか分から
ない、日本地図も持っていないと言った。日本に来ることも身近に接することも全く
なしで、これほどの実力をつけているのだと驚嘆した。
「よくそんなにがんばって勉強できるのね」と声をかけた。「ここでは、がんばる
のは当たり前です。がんばらなければ……生きていけません!」と彼女は言った。社
会主義を実現し、失敗したのはどっちの国なのだろうか。私は頭がくらくらしてきた
。
(田中モー子=匿名投稿)
◇田中モー子
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<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇『海からの贈物』
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【翻訳家】吉田 健一
【原著者】アン・モロウ・リンドバーグ
【出版社】新潮社
【発刊年月】1967年07月20日
【本体価格】420円 (税込)
【ページ数】131p
【ISBN】4102046011
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4102046011.htm
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我々が一人でいる時というのは、我々の一生のうちで極めて重要な役割を果すものな
のである。或る種の力は、我々が一人でいる時だけにしか湧いて来ないものであって
、芸術家は創造するために、文筆家は考えを練るために、音楽家は作曲するために、
そして聖者は祈るために一人にならなければならない。
本文49pより抜粋
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著者は世界初の大西洋横断飛行に成功したチャールズ・リンドバーグの夫人で、女
性飛行家でもあった人。本書は、自分が自分であることに自足できるとはどういうい
ことなのか、自足できない環境や状況がどのように生まれているのかを探ったもので
ある。
物質的で活動的に変わったアメリカ社会。人間的な心や精神を無視してまで求める
、若さ、行動、成功。アメリカ社会で生きていくことの不自由さ、不自然さを指摘し
ながら、アメリカの男と女にどのような精神的変化と負担を与えているのかを語って
いる。
アメリカの男と女が直面する繁栄のなかでの孤独とは一体何なのか。他人の中に自
分を見出そうとするアメリカの男と女、一人になることを恐れるアメリカの男と女、
自分自身を見失い続けるアメリカの男と女の苦悩を浮き彫りにしている。
◇そのほかのオススメ選書をみる
http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm
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■◇『向上心‐自分に命を燃やすものがあるか!』
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【翻訳家】竹内 均
【原著者】サミュエル・スマイルズ
【出版社】三笠書房
【発刊年月】1994年05月20日
【本体価格】1223円 (税込)
【ページ数】238p
【ISBN】4837955053
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4837955053.htm
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人生でおこるさまざまなできごとや職業において、知性は人格ほど役に立たないし、
頭脳の働きは心の働きほどの効果がない。非凡な才能でも、自制心や忍耐、公平な判
断に立脚した信念にはかなわない。
本文43pより抜粋
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本書は、中村正直が明治11年から13年に翻訳出版した『西洋品行論』の新訳版
で、西欧文明史に名を残した偉人と天才たちの言葉と思想から、彼らの人格形成につ
いて探ったものである。
最高の人格は、各自の努力なしにつくられるものではない著者はいう。たえず自分
自身を見つめなおし、自制心と忍耐力を鍛え、内なる良心に耳を傾けれなければなら
ないのだと。
人間社会における秩序とは、各人が持っている精神的な「勇気」によってつくられ
るのだと著者は指摘する。誘惑を退け、義務を遂行し、誠実であろうとする勇気、信
念を貫こうとする勇気、真理を追求しようとする勇気、情熱にかき立てられた勇気が
社会秩序をつくりだしてゆくのだと説いている。
◇そのほかのオススメ選書をみる
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<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「すいれんとアオゲラ」
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NHKには「首都圏ニュース845」というニュース番組がある。この番組は、天
気予報の前後に、季節の花や植物をテーマにした短い映像をいつも放送する。ずいぶ
ん前だが、牧野記念庭園の「ゆきわりいちげ」が映像として流れたこともあった。
先日、この番組でスイレンの花を取り上げた。すぐ三宝寺池だとわかった。なんせ
、その数日前に、同じ場所でそのスイレンを撮ろうとしていたのだから。さすが、プ
ロ。どの角度から、どの方向で、どれくらいの距離で撮るか、よく計算されている。
しかもオシドリつき。
スイレンの花を「首都圏ニュース845」でみた翌日、少しばかり雨が降っていた
ものの、三宝寺池に直行した。そうしたら、いつも人などいないところに人がいて、
「ほら、NHKでさ、スイレンがさ」とささやきあっていた。
スイレンを静かに観察しはじめたら、聞いたことのない鳥の声が聞こえてきた。長
いこと三宝寺池に通っているが、初めて聞く声だ。深い深い森の中にいるような、そ
んな鳥の声だった。後日、三宝寺池を中心に活動している野鳥観察者のネット日記を
読んだら、その鳥の名前がわかった。アオゲラだと。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトに掲載しています]
◇館長室だより(「三宝寺池のすいれん」などをデジカメで撮影しました)
http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20050617.htm
◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
http://www.ithouse.net/japanese/director.htm
<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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「通訳翻訳ビジネスレポート」ではメディアが取り上げない通訳翻訳業界の現状を
取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
の資格は「通訳翻訳ビジネスレポート」の読者であればどなたでも応募いただけます
。
原稿内にはご自身のホームページの表記も認めますが、表記によるトラブルについ
ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
ところですが編集部が掲載を判断したものに限らせていただきます。
原稿は下記の体裁でお送りください。掲載の成否は1週間以内に必ずご連絡いたし
ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
「通訳翻訳ビジネスレポート」メールマガジンにも掲載させていただきます。なお将
来的に「投稿コラム」は出版物として出版する可能性もありますのであらかじめご了
承ください。
応募原稿体裁―「通訳」または「翻訳」をキーワードに政治・経済・文化などにつ
いてのあなたご自身のご意見を1行全角38字詰め、総字数1000字〜2000字(見出しを
含む)にまとめ、下記アドレスへお送りください。メールアドレスのみの匿名による
応募も受け付けますが会社名、氏名、メールアドレス、ホームページURLの表記を
ご希望の方は記入ください。
原稿の成否に関するお問い合わせ、及び成否の理由についてのお答えは一切できま
せんのでご承知おきください。お手数ですが、送信メールの件名には必ず「投稿」と
いう文言を記入してください。
随時募集いたしております、奮ってご応募ください。
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