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通訳翻訳ビジネスレポート No.17 2003/12/31 投稿:翻訳ブランドで選ぶ時代
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◆━2003/12/31 第0017号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「翻訳ブランドで選ぶ時代」平岩大樹(通訳翻訳館)

<書籍紹介>
 ◆『日本・日本語・日本人』大野晋 鈴木孝夫 森本哲郎(著)
 ◆『「ことば」は「こころ」』外山滋比古(著)
 ◆『想うことが思うようになる努力』鳥羽博道(著)
 ◆『トム・ピーターズの起死回生』トム・ピーターズ(著) 仁平和夫(訳)

<編集後記>
 ◆「江戸のねりまを学ぶ」

<投稿募集>
 ◆「あなたからの投稿を掲載します」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「翻訳ブランドで選ぶ時代」
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 ジャンクフードばかり食べていると、舌の味覚が鈍感になり障害を引き起こす。ジ
ャンク翻訳書ばかり読んでいると日本語の語感が狂う。私もジャンク翻訳書障害に悩
まされたひとりだ。ジャンク翻訳書は、たしかに日本語で書かれている。だがさっぱ
り日本語で理解できない。読み返してみても意味不明なのだ。

 そのため、ジャンク翻訳書を読んだ読者は自分の読解力が足りないと思ってしまう
。重症のジャンク翻訳書障害にかかると、読者は本を避けるようになる。自分の頭で
はとてもついていけない、理解できないと自分を責めるようになるからだ。

 ジャンクフードによる味覚障害は「亜鉛不足」によって引き起こされる。ジャンク
翻訳書による語感障害は「三流翻訳者」によって引き起こされる。ジャンクフードに
よる味覚障害の治療法は亜鉛補給である。具体的な補給食材としては、貝の「牡蠣」
を食べるのがよい。だが、ジャンクフードを食べないのが一番いい。

 ジャンク翻訳書による語感障害の治療法は、質の高い日本語の補給だ。具体的な補
給材料としては夏目漱石などの文学作品でもいいし、名の知れた日本人評論家の著書
でもいい。質の高い日本語の文章を読み、補給すれば語感障害は消えてなくなる。ジ
ャンクフードと同様にジャンク翻訳書を読まないのが一番いい。

 そこで重要になるのが翻訳書とジャンク翻訳書の見分け方である。ジャンク翻訳書
による語感障害は「三流翻訳者」によって引き起こされる。だから「三流翻訳者」が
翻訳したものは読まなければいい。

 あまり注目されてはいないが、翻訳書もバックや靴のブランドのように翻訳ブラン
ドが存在する。この翻訳ブランドを活用すれば、翻訳書とジャンク翻訳書を見分ける
ことができる。

 翻訳書は翻訳家によってブランド化されている。読書家は一流の翻訳家によってブ
ランド化された翻訳ブランドを信頼する。例えば、翻訳家の山岡洋一が翻訳したジェ
ームズ・C・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』は山岡ブランドであり、翻訳家
の仁平和夫が翻訳したトム・コネラン『ディズニー7つの法則』は仁平ブランドであ
る。

 だから山岡ブランドや仁平ブランドに深い愛着を感じる読書家は、翻訳家で本を選
ぶ。信頼できる一流の翻訳家をみつけることは、読書家の楽しみでもある。一流の翻
訳家、気に入った翻訳家をみつけると芋ずる式に良書リストが手に入る。なぜなら、
翻訳家の翻訳作品リストがそのまま良書リストになるからだ。

 翻訳書から学び、一流の原書を一流の翻訳であじわうためには信頼できる翻訳家を
みつけなければならない。一流の翻訳家が翻訳した翻訳書を意識して読むようにすれ
ば、ジャンク翻訳書に遭遇しても「三流翻訳者」のジャンク翻訳だと思えるようにな
る。

 人気作家の村上春樹が翻訳したJ・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・
ライ』は村上ブランドを全面に打ち出した翻訳ブランド戦略の典型だ。宇多田ヒカル
が翻訳したコズミック・デブリ『エミリー・ザ・ストレンジ』も翻訳ブランド戦略の
ひとつだ。

 本が売れないなか、出版業界はどうやって本を売るのか、いろいろ試行錯誤してい
るようだ。それが翻訳ブランド戦略となって『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『
エミリー・ザ・ストレンジ』を生んでいる。

 ここ数年、PCマニアやアニメオタクの趣味が一般に広がっていく社会現象が起き
ている。コーヒー豆でさえもそうだ。おなじように読書マニアである読書家のたしな
みが、一般読者に広がっていく社会現象も起きつつある。それは翻訳書を翻訳家ブラ
ンドで選ぶという現象だ。

 「スーツはゼニア、靴はフェラガモ、コーヒー豆はスターバックス、翻訳書は山岡
洋一がいい」。こんな会話を街中で聞けるようになる日も近い。

(平岩大樹=通訳翻訳館)


[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20031231.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇『日本・日本語・日本人』
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【著者】大野 晋 鈴木 孝夫 森本 哲郎
【出版社】新潮社
【発刊年月】2001年9月15日
【本体価格】1100円 (税抜き)
【ページ数】201p
【ISBN】4106035049
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106035049/ithouse-22

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日本人は見分けること、区分してそれを全体として体系化して認識するという習慣を
国民の風として身につけることが必要である。それが行き渡らなくては、これからの
精密な電子の世界に対応し、生き抜いていくことはできないだろう。
                           本文57pより抜粋
──────────────────────────────────────

 本書は国語学者、評論家、言語社会学者である大野氏、森本氏、鈴木氏が座談会を
開いて「日本・日本語・日本人」について意見交換した内容を収録編集したものであ
る。各氏の書き下ろし論文を加えることで、単なる対談録におわらせない工夫も施さ
れている。

 各氏は日本語に対する誤った見方や劣等意識がどこから発生しているのか、その発
生源を叩いたうえで日本語の土台を支える歴史背景、日本人の思考に密接に結びつい
る日本語とはどういう言葉なのか語り合っている。

 日本語がどのような歴史的背景から形成され、発展してきたのかを明らかにし、母
国語としての日本語をどう認識し、深く日本語を理解するためには何が必要となるの
か、日本人にいま必要とされる習慣とは何なのか、世界の文明史を紐解きながら日本
、日本語、日本人のあり方を問いかけている。
 
 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


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■◇『「ことば」は「こころ」』
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【著者】外山 滋比古
【出版社】講談社
【発刊年月】1997年3月22日
【本体価格】1280円 (税抜き)
【ページ数】246p
【ISBN】4062640465
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062640465/ithouse-22

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美しいことばとは、ただ、形のよいことばというのとは違う。こころを伴っていなけ
れば、いくら飾ってあっても、ことばはすこしも美しくない。どんなりっぱなことば
であっても、ひとのこころを傷つけるようでは美しいとは言えない。
                          本文246pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は1923年生まれの英文学者。月刊英語雑誌『英語少年』の編集長を務めた
経験があり、お茶の水女子大学や昭和女子大学で教鞭を執っていた。現在はお茶の水
女子大学の名誉教授を務めている。

 本書は「ことばづかいはこころづかいである」という観点から、日本語の話しこと
ばを論じたものである。ことばとは、ことばを話す人間そのものと深くかかわりをも
っており、話者の「こころ」そのものであると著者はいう。

 ことばの本質を忘れて使われる敬語、意味のわからないカタカナ語の氾濫などを指
摘しながら、日本のことば文化とはどうものなのか。話すことばひとつで、好ましい
人にもなれば、いやな感じにもなってしまうのはなぜなのか。話し方がうまければ、
ほんとうに人間関係や仕事もうまくいくのかなどに答えている。

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■◇『想うことが思うようになる努力』
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【著者】鳥羽 博道
【出版社】プレジデント社
【発刊年月】1999年12月20日
【本体価格】1600円 (税抜き)
【ページ数】209p
【ISBN】4833490528
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833490528/ithouse-22

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自分が成長したいという願いを持っていない人は成長しないし、現状の生活に甘んじ
ている人はそれ以上の生活を望むことはできない。まずは、「自分はこうなるんだ」
「絶対にこれを実現するんだ」という明確な目標を持つことが大切だと思う。
                           本文205pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は「ドトールコーヒーショップ」の創業者。イタリアン・モダンをテーマにし
た「エクセシオールカフェ」、ハワイアンリゾート感覚が楽しめる「マウカメドウズ
」など日本のコーヒー文化に大きな影響を与え続けている人。

 本書はドトールコーヒーの創業から成功までの軌跡をまとめたものである。レスト
ランでのアルバイト生活をとうして出会ったコーヒー。コーヒーに魅せられブラジル
に渡るものの帰国した事情、「使命」と「情熱」を持って会社を設立したことが回想
されている。

 サービス業とは何なのか。自らを成長させ、ドトールを常に成長させることができ
たのはなぜか。うまくいかない時、苦しい時、あきらめかけた時、どのようにして難
局をくぐりぬけてきたのかが綴られている。

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■◇『トム・ピーターズの起死回生』
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【著者】トム・ピーターズ
【翻訳】仁平 和夫
【出版社】ティビーエスブリタニカ
【発刊年月】1998年6月30日
【本体価格】1600円 (税抜き)
【ページ数】414p
【ISBN】4484981092
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484981092/ithouse-22

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ビジネスの真髄は、サービスと成長とイノベーションにある(公共サービスも同じだ
)。だとすれば、毎日の仕事こそが大事ではないのか。心を込め、全知全霊を傾け、
人間のもつ可能性(自分だけに限らず、同僚や顧客のもつ可能性)を少しでも高めよ
うと力を尽くすのが、毎日の仕事のあるべき姿ではないのか。
                           本文130pより抜粋
──────────────────────────────────────

 著者は経営コンサルタント会社マッキンゼーから独立した経営コンサルタントで経
営学博士。米国一流企業だけでなく南米、ヨーロッパ、中東、東南アジアでビジネス
展開する企業の経営コンサルティングも数多く手がけている。

 著者は人と違うことをやらなければ大きな成功はないといっている。人と違うこと
をやるには勇気がいるし、馬鹿にされ、拒絶され、市場歓迎されるまで苦難の道を何
年も歩くことになるとはっきり忠告する。

 本気でリーダーを志すなら、拒絶される苦しみに耐え、その苦しみに耐える覚悟を
しろとも語っている。使命とビジョンを掲げ、巌(いわお)のごとき信念と尋常なら
ざる忍耐力もち、叩かれたも挫けない人は、最後に世界を変えると言い切っている。

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<= 編集後記 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇「江戸のねりまを学ぶ」
■■………………………………………………………………………………………………

 2003年は慶長8年(1603年)に徳川家康が江戸幕府を開いてから400年
目にあたる年だった。訪日ツーリズム元年ということもあり、江戸開府を記念した特
別イベントもたくさん開催された。

 江戸時代のねりまはどういうところだったのか、人々の暮らしはどういうものだっ
たのか、練馬区の郷土資料室で特別展示会が開催されていることを知り。足を運んで
みた。

 ねりまに住み、ねりまで仕事をし、ねりまの緑に癒されている私でさえ、江戸時代
のねりまを知る機会などなかった。知っていたのは「ねりま大根」くらいである。展
示会をつうじて、ねりまには江戸時代から大切に守られてきた仏殿や御正門があるこ
とを知った。

 特別展示会の帰りに、「三宝寺」という歴史ある寺にいってみた。仏殿や御正門の
保存状態もよく、400年という時を感じさせない。細部に宿る匠の技にも惹かれた
。仏殿や御正門には匠たちの魂が宿っていた。400年という時を経てもなお人に感
動を与える匠たちの技は、まさに一流の技である。(平)


<= 投稿募集 =>――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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