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■「読者の逆襲」-2004/05/28
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 ぶん殴られるほどの衝撃、手が震えるほどの感動、信じてきた価値観がひっくりかえる本しか買わない。本が売れないのは、読者が出版社に逆襲しているからだ。読者は本を買わないことで意思表示をしているにすぎない。読者をバカにし、インチキ翻訳者をつかって翻訳させた三流翻訳書など読みたくもない。時間とカネの無駄だ。

 インターネット、携帯電話、図書館、古本屋など関係ない。インチキ翻訳者が誰かなんてことはどうだっていい。本が売れなくなったのはなぜなのか、問題の本質を追求せず、責任を転嫁し、自分たちがやってきたことを素直に反省しない。そんな出版社などいらない。読者はそう意思表示している。

 三流翻訳書を大量生産している人間は本を読んでいない。ひどいことに、一般読者よりも本を読んでいない。一般読者よりも本を読まない人間が、読書家のこころなどわかるはずもない。だから、ハッタリ、ごかまし、テクニックを駆使して本を生産する。一流の原書を三流の翻訳書にしても、なんとも思わない。なぜなら、本をちっとも読んでいないからだ。

 読書家とおなじように本を大量に読み、翻訳書から学び、情熱と使命をもって本づくりをしている人間だったら、読書家が何を望み、一般読者が何を求めているのかがわかる。一流の原書を三流の翻訳書にすることが、どれほど読者の期待を裏切ることになるか、恐ろしいほどよくわかる。読者にハッタリ、ごかまし、テクニックなど通用しない。読書家とおなじように本を読んでいれば、どうなるかは簡単に予想できる。

 だが、現実にはハッタリ、ごかまし、テクニックが蔓延している。本をちっとも読んでいない人間が、出版社にたくさんいるからだ。みてくれや、かっこのよさを求め、ハッタリ、ごかまし、テクニックに溺れた人間が出版社で三流翻訳書を生み出している。そんな人間に読書家のこころや読者の気持などわかるはずがない。一流の原書を三流の翻訳書にして読者の期待を裏切り、本が売れないからといって「読者はバカだ」とやる。

 読書家は怒っている。読者をバカにした傲慢な態度と姿勢に対してだ。ハッタリ、ごかまし、テクニックを駆使して生み出された三流翻訳書の山のまえで、読書家は激怒している。出版社の経営陣は、このことに気づていない。出版社を経営している人間でさえ、本を読んでいない。だから、大赤字になった。

 経営者の態度は、社員をとうして商品に反映される。社員は社長の背中をみて育つ。みてくれや、かっこのよさを求め、ハッタリ、ごかまし、テクニックに溺れた人間が三流翻訳書を生み出しているという現実は、そのまま出版社を経営する人間の態度、姿勢に直結する。

 日本の読書家は目が肥えている。その肥え方は半端じゃないし、要求するレベルも半端じゃない。ホンダ、ソニー、トヨタが生み出す商品をみてみればいい。ホンダ、ソニー、トヨタの商品は三流品じゃない。ホンダ、ソニー、トヨタが生み出す商品は、どれも世界最高の品質と性能をもっている。その品質と性能を要求したのは、だれか。それは日本人のユーザーだ。

 ホンダ、ソニー、トヨタはユーザーの期待に応え、その期待を超越して新しい価値を生み出すことに情熱を注いできた。「お客はバカだ」などという態度や姿勢は微塵もない。世界最高のものをつくるという明確な理念があり、その理念は経営方針に反映され、経営陣をはじめ社員に浸透している。

 ホンダ、ソニー、トヨタのような出版社が、なぜ日本にはないのか。それは出版社が権威という「ぬるま湯」にどっぷり浸かってきたからだ。「読者はバカだ」などという態度や姿勢は、「国民はバカだ」などといっている役人や学者と同じだ。

 権威という「ぬるま湯」に浸かっているから傲慢になる。だが、その心地よい「ぬるま湯」は、すでに「冷水」に変わっている。このことにきずかない出版社は、これからのブランド大競争時代に生き残れない。大手だから、絶対につぶれないとでも思っているのなら、それは幻想でしかない。

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平岩 大樹(ひらいわ たいき)

 1998年10月、通訳翻訳館の前身となった求人求職マッチングサイト「個人翻訳通訳館」ウェブサイトを立ち上げる。2000年に同サイトを通訳翻訳館に名称変更し「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職マッチングサイトを開設。現在、通訳翻訳分野における「求人と求職のミスマッチ解消」を使命とし通訳翻訳館を運営している。




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